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シュリンプヘッズ

お待たせいたしました。久しぶりのコラムです。
例によってグダグダの文章ではありますが最後までおつきあいいただければ幸いです。

2004年の3月、四半世紀を過ごしました花の東京から松浦善博、一身上の都合にてふるさと神戸に帰郷いたしました。たいそうな書き方になっちゃいましたが、そろそろ神戸に帰らないと生粋の江戸っ子になっちまいますもんでそいつぁーちょっとばかし困っちゃうかなと。
標準語は25年も住んだのにまったく喋れませんでした。東京タワーは行ったことありますが、銀座の高級クラブにはデビューしませんでしたし、昔ながらの江戸情緒溢れる下町のこと等も殆んど知らずじまいでした。いやちょっと待てよ、そない言うと、神戸のポートタワーには行ったことあるけど憧れの北新地にも行ったことないぞ。

一時的に実家の近所に部屋を借りることにしました。場所はJR兵庫駅のちょっと山側で朝の9時40分を過ぎますとまったく陽が入らない部屋でした。そのあまりの寒さにガスストーブを長田のK’s電機に買いに走ったのが最初の外出でした。

神戸に引っ越すことは何人かの友人には伝えてありましたが、引っ越した次の夜にチキンジョージの正木さんから電話をもらいました。

「近いうちに会いましょう」ということでした。

僕は政治家ではないので、近いうちというのはせいぜい2~3日から1週間と考えていますので、早速次かその次の日に待ち合わせを決めました。こういうテンポで日本の政をやっていただけたらつくづくええのになあと考えますし、言いたいことは山ほどありますが今はやめときます。

まさやん「正木さん。エンジニア。以後は、まさやんと表記します」。は一人の女性アーティストを連れてきました。これが不思議な名前の人で、キナコと名乗りました。キナコというと誰しも想像するのがわらび餅にかかっている黄粉ですが、このキナコは人間でそれも若い女性シンガーソングライターでした。

まさやん「つきましてはキナコのアルバムを作りたいのでプロデュースを是非お願いしたのですがいかがでしょうか?」
松「依頼してくれて有難う。レコードをプロデュースするのは嬉しいけど神戸でやるの?それとも東京?東京やったら今はちょっとしんどいなあ。」
まさやん「ええスタジオが淡路島にあるんです。コブクロの時に一度きてくれたあのスタジオですわ。」

正式名はスタジオチキンジョージサザンアワジ。淡路島が誇る名旅館「うめ丸」の敷地内にあるという、それはそれは素晴らしい環境のスタジオなのであります。日本のコンパスポイントです!!!
コブクロのレコーディングに招かれて初めて訪れた時のスライドギターの録音はわずか1時間で終了してしまいました。

夕食までの時間を持て余した僕はスティームサウナ&大浴場を7回も繰り返しフラフラの状態で皆さんと乾杯したのが懐かしい思い出です。
その「うめ丸」でのレコーディングが関西での初仕事。神戸に引っ越して来たん大正解やと思いましたねえ。

デモテープをまだ聴いてもいないのに3人は盛り上がりレコーディングメンバーもその日のうちに決まりました。とは言ってもメンバー本人にその場から確認したわけではないので実際に決まったのは近いうちではなく次の日でした。まさやん、キナコちゃん、僕の決めた3人のアーティストは快くオーケーしてくれました。

ピアノ、オルガン、キーボードはツイストの時からの盟友 神本宗幸。
ドラムスはTHE SONSでいっしょにやっているロジャー高橋。
そしてベースはいつか一緒にやろーなとずっといっていたサヴォイトラッフルの小笠原義弘。

4人で出す音はすごく想像できていたので1曲ずつアレンジに取り掛かりました。ただ自宅の部屋が9時40分以降メチャ寒いので難儀しましたが、順調に編曲は進んでいきました。
今やから言えますが、曲の元ネタもろにあれやん的なものも少々ありましたが、そのうち暖かくなって来たので須磨海岸までサイクリングして頭の中に鳴ってくる音を小さなラジカセに吹き込んでそれを譜面にしていきました。

いやいや、全然違う。確かに五線紙は使いましたが99%音符は書いていません。まず曲のコードと進行を書いて、各メンバーにこないしてくださいというのを言葉で書くのを基本にしました。言わばお手紙ですね。

例えばロジャーへは、イントロ「タン、タタタン」 ブリッジでは「ウッタン、タカタン」とカタカナ表記で譜面上に書いていきました。ロジャーは「この譜面、今までで一番わかりやすいわ」と言ってくれました。嬉しかったですね。

神ちゃんにはプールの中でブクブクいう泡の音をシンセサイザーで出してとか、お月さんが見える感じのピアノ弾いて、とか。思いついたことをタラタラと書きました。
おがんちゃんには「ジャズベースを弾いて下さい」とだけ書きました。
あとは譜面の至るところに‘相談’の2文字。その場で皆さんで相談して決めましょうという、何とも曖昧な表現やけど笑える譜面が出来上がりました。
キナコちゃんのアルバムを聴いていただいたことのある方はなるほどなーと感じていただけることと思います。まだ聴いておられない方は是非聴いてください。ちなみにうめ丸の売店でも購入可能ですのでお泊りの際は是非お買い上げ下さい。

このレコーディングの自慢のひとつ、それはレコーディング時間の短さでした。
昼下がりの1時までに準備のある人はそれをこなし、2時前からボチボチ録音を始めていきましたが、皆さんの音楽性と集中力とアイデアのおかげを持ちましてレコーディングが夜の7時58分を越えたことは一度もありませんでした。もちろんまさやんが行うミキシングはまさやんの好きな時間にお任せしましたが、5人で演奏したり歌ったりはホンマに早く終わりました。
このやり方には僕のちょっとした憧れがありました。

ロスでツイストの再結成アルバムのミキシングをお願いしたジムスコットというそれこそレッチリなどで有名なエンジニアの方から聞いた話なのですが、トムぺティーとハートブレーカーズのレコーディングのやりかた、そしてその素晴らしさについて少々お話しさせて下さい。
彼らは一人も遅刻せず11時までにスタジオにやってきて、まずそれぞれの準備を始めます。スタジオアシスタントの方がメンバーのお昼ご飯の注文を聞きにまわります。大体の場合何がしかのサンドウィッチを皆さん頼まれるそうです。12時ころ「ランチブレーク」という声がかかりそれぞれ美味しそうに召し上がり雑談をしているかと思うと1時きっかりに演奏が始まるそうです。バンドやから口伝えでものごとは進行していき、午後4時ころに1曲の録音が完成すると「オーケー。イッツ タイム フォー ディナー」とそれぞれが帰宅の途に着くという夢のようなレコーディング。

朝方近くまでレコーディングをして、終わってから早朝焼肉を食べに行ってたあれは一体何だったんだ。人生の大きなミステイクのひとつには違いないですね。
ハートブレーカーズのように健康なバンドがあれば今からでも入れて欲しいものです!

この話を聞いてからいつかこんなスタイルでやってみたいなとずっと考えていました。
僕たちの録音はさすがに午後4時には終わりませんでしたがお楽しみの鯛のフルコースを堪能するのにちょうどええ時間までには必ず終了しました。
レコーディング終了後はそれぞれ。
大浴場で軽―く泳ぐロジャーとおがんちゃん。マッサージチェアーを堪能する神ちゃん。僕はちょこっとだけ明日の予習。キナコちゃんはマネージャーのカキちゃんとハーゲンダッツを買うか買わないかの話し合い。まさやんはミックスの準備。そしてこのレコーディングの仕掛け人、うめ丸社長の藤川さんは食事後のプライベートバーの設えやあれこれ。

そしていよいよ始まります。超豪華鳴門鯛を中心とした会席料理。何せうめ丸の目の前は鳴門海峡。そこで捕れた鯛は、それはそれは見事なもんでした。
その鯛フルコースの流れの中で大きな海老をメインとしたてんぷらがドーンと登場します。鯛と鯛の間の車えび。例えて言えば2ステージ構成のストーンズとストーズの間に突然登場してきたビートルズ。ちょっと例えは微妙ですが、そんな豪華2大魚介類のライブ饗宴とでも言いましょうか。「海老で鯛を釣る」という言葉がありますがこの場合「鯛で海老を釣る」というのもありではないかいと。話がちょっと支離滅裂になってきましたが、そのくらい美味しいということであります。

僕は海老は頭から尻尾まで全部食べる派なのでお皿は空っぽになるのですが、皆さんなぜか海老の頭を残すのです。僕がいくら進めても食べません。はっきり言って悲しき海老の頭達なのであります。

ある日10数人の大宴会が執り行われた時、僕はちょっと酔った勢いで皆さんの海老の頭を回収に周り自分のお皿に綺麗に盛り付けてみました。
「オー、何と美しい光景」こんなに立派な海老の頭の集合体をみたのは生まれて初めてでした。これにはみんな感動???していました。
誰かがとっさに叫びました。「シュリンプヘッズやっ!!!」
そして次の日から僕たちは誰からともなくこのバンドのことをシュリンプヘッズと呼ぶようになりました。
これがシュリンプヘッズの名前の由来であります。単純な名前ですがゴッツイ気にいっています。今年の6月には念願叶ってやっとライブをやりました。なかなか好評やったと聞いて喜んでおります。

レッドツェッぺリン
ストーンテンプルパイロッツ
パールジャム
グレイトフルデッド
世の中にはかっこええバンド名はいっぱいあります。
そやけどことバンド名に関したら負けない自信があります。
肝心の音楽はこれから頑張ります。
今はまだシュリンプヘッズという名前が浸透していませんから、便宜上松浦善博バンドにさせてもらっていますが、ええ機会にシュリンプヘッズにしたいなと考えています。

正式バンド名をシュリンプヘッズにするかどうかの協議は近いうち、いや12月にいたします。ということはライヴがある???

追伸
このコラムではあたかも毎晩鯛のフルコースを食べていたかのような表現が一部なされておりますが、実際には毎晩ではなかったということを明記しておきます。

うめ丸HPです↓

http://www.umemaru.co.jp/

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コメント (4)

ひとみらっしゅ:

初めてキナコちゃんを聴いたあの日は(もちろんシュリンプヘッズがバックでしたね)私の秘かな記念日です。

今でもそうです。
そんな機会を作ってくださった松ちゃん、ありがとう。松浦さんがいなければあの日はなかった!

そんな(どんなや?)シュリンプヘズが動き出していますね。
前回は楽しかったです!
冬も超楽しみにしています。
海老の頭万歳\(^-^)/

あんぱんまん:

久しぶりのコラム、楽しませてもらいました。年内にもう1度・・・シュリンプヘッズ・・・うーん、楽しみです。私は、海老の尻尾が好きです。

りんごチップス:

きれいなお月さん、しっかり見えてましたよ~^^
12月が待ち遠しいです♪


ゆう:

待ってましたコラム再開!
前回どこで終わったのか遠い記憶を頼りに楽しく拝見させていただきました。

シュリンプヘッズ命名の由来がわかって面白かったです。
年末S.O.Ra.楽しみにしています。

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