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第31話 HIP HIP HIP

木崎賢治さん、吉野金次さんという当時名うてのプロデュ−サー、エンジニアとタッグを組んで『HIP』と名付けられたアルバムの制作が始まった。今回は5人のメンバーにプラスしてドラムの田中清司さん、キーボードにアイドルワイルドサウスで一緒やった難波正司君。ギターの小林圭三君(圭三に関してはボクからの強い希望により実現)が参加。5人だけで作れないわけでは決してなかったのですが新しい血を入れたかったのだろうと思います。田中さんと金ちゃんのツィンドラム、気持ちよかったなあ。


リハーサルは十分にやっていたので田中さん、難波君(難波君は正確にはダヴィングでの参加でした)圭三君に曲の説明をしつつ、さあ、でははじめましょうかというまさにその時木崎さんが言ったか金次さんが言ったかは忘れましたが、『マツウラ君、今回はレスポールなしでということで他のギターでよろしく。例えばグレコのブギーとかフェンダーとかそんな感じでやりましょう』という爆弾発言があった。ゴールドのレスポールがここ数年のメインギターやった僕は思わず仰け反りました。どんな表現が適しているかはわかりませんがとにかく絶句。しかし一度プロデュースを御願いした限りは言われたとおりにやるのがこの世界の掟と聞いていたのでそれに従いブギーを弾くことになった。今時の言い方やとコンプライアンスやねえ。

このグレコのブギーは僕が宣伝のキャラクターになってたギターでそれも僕の持ってたのは(後日バービーボーイズのいまみちともたか君にプレゼントしました)プロトタイプ。決して悪いギターではない。むしろラヴソングの時はブギーに決めてたくらいゴールドトップの次に出番の多いギターではあったのですがやっぱりレスポールを弾きたい願望が強い。ついに『なんでレスポールやったらアカンのですか?』と質問してみた。答えは簡単でした。

『今回のサウンドに合わないから』

まあここまで言われたらしゃあない。一丁やったるかといろんな音作りしましたねえ。ポリスみたいな音出す発明?もしたし(当時としたら難しかっただけで古いBOSSのCE-2の目盛りを両方とも12時と13時の間くらいにしたら一発にその音になった。でもなんか自分ではないんですよ。スタジオの時間の流れ方も正直好きではなかったしそこには僕の思い描いてるツイストはもはやなかった。圭三君の好サポートでうまくはいったものの一人やったら撃沈してたやも知れません。スタジオの帰り道毎晩圭三君に愚痴ばっかり言ってたと思います。申し訳ないことしたなあ。

そやからギターダビングのあとの作業のこと実は知らんのです。と言いますかスタジオに行かなかったんちゃうかなあ?この辺りの記憶が殆んど消えてしまっていて思い出せないのです。とにかくトラックダウンには1回も行ってないのは事実です。僕がやったのはギターとちょっとだけのコーラスだけ。でも無事にアルバムは完成。しかしジャケットを見てまたもや仰け反った。なんと僕はメチャへなちょこ情けない顔で写ってる。いやあ穴があったら入りたいくらい恥ずかしいけどもはや手遅れ。

ジャケットの帯のローマ字表記に間違いを発見した僕は安井君にジャケットごと差し替えてくれと頼んではみたもののやっぱり無理。アルバムは見事に発売されテレビ出演が始まった。そしてまた困ったことにこのテレビ用の衣装もいやだった。おまわりさんみたいな衣装で演奏する『恋のコレクトコール』はイメージチェンジという面では話題になったがやはりベストテンには戻れなかった。このHIPにはいっている『恋のchu chu chu』をなんでシングルにしないのかが僕には理解出来なかった。僕と事務所の女性スタッフ全員がこの曲をシングルにと大プッシュしたが叶わず。今考えてももっと強く言ってれば良かったなと。絶対売れたと思うねんけどなあ。メチャええ曲やもんね!!

そしてまた合歓の郷へ温泉旅行、いやツアーの合宿へ。ギターには金ちゃんのマリストの後輩 作本光弘君が参加。バンドのメンバーは大阪芸大とマリスト出身者だらけになった。唯一神ちゃんだけが違う学校で。まあ出身校のことはどうでもよいことでとにかく合歓でのリハが始まりました。みっちゃん(作本君)とのギターの相性がこれまたバッチリでツインリードもドンピシャ。話は27年飛びますが昨年の12月に熊本でみッちゃんとセッションしましたがますます息があったのにはホンマビックリでした。今年の7月に熊本市民会館でソロライブがあり大成功やったそうです。みっちゃんは今も元気にロックやっています。頑張れ!!作本光弘。では話を昭和に戻します。


リハはとんとん拍子に進みましたがアンプをマーシャルからフェンダーツインリバーヴに変更したので音作りはちょっと苦労しました。このツインというアンプは100ワットで大きくせんと良い歪みが得られないのでマーシャルのようにヴォリューム3程度でバリバリというワケにはいかずエフェクターも確か変えた記憶があります。

ジョー ウオルッシュがスピーカーを一つだけにして(ツインリバーヴには2個スピーカーが入っています)2台のツインアンプを鳴らせと教えてくれたのでそのとうりにしてみますと速攻でスピーカーは飛びました。無茶苦茶なこと教えてくれたものです。当時のヤングギターの対談でそんな話をしたかも知れません。ステージにツインアンプは8台セットされていたので大事には至りませんでしたがやり方をきっと間違えたのだと思います。

話はまたまた飛躍しますが未だにジョーが僕にくれると約束してくれたコリシディンのオリジナルボトル(本来は風邪薬のビンですがこれがスライドバーとして最高)とエコープレックスは僕のところに届いていません。しかし愛すべきジョーおじさん、いやジョーおじいさんであります。


ツアーは始まりましたがやはりあまりレスポールの出番はなくブギーを使う頻度が高く得意のオーバードライブサウンドがなかなかでない。山梨のコンサートに行く日、これもジョーさんに勧められたギターなのですがHAMER,当時僕たちはハマーと言ってましたが正確にはヘイマーのギターを新宿のラオックスで衝動買いしてしまい(なぜだというと定価28万円が半額になってたから)、集合時間に遅れちょっとだけリハにも遅刻しました。しかしこのハマーがゴッツイええギターでHIPのサウンドに合っているかどうかは別にしてレスポールちゃうからええやろ的発想で買ったわりには素晴らしいサウンドでさっそくブギーと半々で使うようになりました。

でも正直いうと音はレスポールそのもので時効やからいいますが当時持っていた1960年製のサンバーストレスポールよりレスポールらしいええ音のギターでした。ヴィンテージやから全部いいというわけではなくホンマ、ギターには当たり、ハズレがあるもんやなあとつくづく感じました。1980年頃製造のHAMER SUNBURSTを見つけたら速攻で買うべし、しかしネックの調子だけはよくチェックしてください。


HIP TOURは無事終了しましたがどうも僕はこのサウンドについて行けずこの方向性のツイストに僕は不必要やと考えるようになりメンバーに何の相談もしないまま、意を決して安井君に脱退を申しいれました。安井君は僕がそう言ってくるのを感づいていたようでよく話を聞いてくれ、そしてこういいました。

『バンドは前のスタイルに戻すつもりでおった。ただ一度チャレンジも必要だったしいい経験になった。FACESみたいになろうな』

僕は即決でバンドに残ることに決めてまるで何もなかったかのように次の日からの仕事を続けました。これでひと安心とこのときは思っていました。でもそうやなかったんです。


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コメント (3)

hana:

いつも、車の中で聞いてました。
ダンブリンな音楽というフレーズが耳に残って・・・

松浦さんてどんな人かな?とココに来てみました(笑)

仕事が変わって、中々聞けなくなったのが寂しいです。

これからも、素敵な声、聞かせてくださいね♪

IMA:

松浦さん

Greco Boogie、好きでした。
自分が10代の頃からお世話になっていた
高野順氏が開発に関わっていたことから
製品版のBoogieを使っていた、と話したら
松浦氏の使っていたプロトタイプを
譲ってくれたんでしたね。
件のブツ、いまは北海道のギター弾きの
手元にあります。

新しいソロがでるんですね。
また制作by大人三人組でしょうか。
先行シングル探してみます。では!

全然、記事と違った話で申し訳ありません。
松浦さんの、教則DVDを買って、40歳になってやっとスライドの練習を始めました。
すごく楽しく練習できます。
もう、レギュラーチューニングで始めてしまったので、しばらくこのスタイルになりそうです。
やはり、普通のフィンガリングとポジションが違ってたりして、慣れるのにまだ時間がかかりますが、スライドの魅力がわかってきました!ありがとうございます。

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