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第32話 解散するとハワイに電話がかかってきた

HIPのツアーも終わり新しい曲のアレンジやアイデアを出し合うリハーサルを続けながら取材やテレビ、ラジオへの出演。いわゆる芸能活動も並行して忙しい日々を過ごしていました。

夏の終わり頃に日比谷野外音楽堂でハウンドドッグとジョイントライブをやりました。ベースの鮫島秀樹は後にハウンドドッグのメンバーに迎えられるのですがこの時はその兆候すらありませんでしたが鮫ちゃんらしいなというホンマにあった話を今回は話してしまいましょう。198?年のいつ頃かは忘れましたが寒くなかったのでまあ春やったと思います。

僕が渋谷の公園通りをブラブラしていましたら偶然駅の方面から鮫ちゃんがロックスターの如く颯爽と歩いてきまして『おお、松ちゃん 俺なあ今二つのバンドから誘われてるねん。ひとつは???でもうひとつがドッグやねん。どっちがええと思う?』と立ち話にしてはドエライ重要な相談をしてきた。

ぼくは間髪いれずにハウンドドッグがええよと答えました。『ほう、そない思うか。ほんならそうするわ』とスターは渋谷の雑踏へ消えていきました。僕が薦めたから加入したかどうかは別としてこの鮫島秀樹という男。なんという運命の元に生まれてきたのでしょうか。ツイスト時代にも大きなバンドから誘われてるねんけど断ってんと言っておりました。鮫ちゃんが加入してすぐフォルテシモが大ヒットしたもんなあ。ツイストも鮫のおかげやったんやろか?

話を1981年に戻しましょう。この日比谷のライブの後ツイストは短い休暇をもらえることになっていました。僕は秘かにハワイへ行こうと決めていました。あのカニが忘れられなかったからであります。ところがカハラモールにあるはずのその店が見つからない。友達に聞いても『I don’t know』 と言う。1980年初冬の取材旅行におけるあのカニの夕べは夢やったんやろか。聞く話によるとその店はつぶれたということで夢ではなかったのですが他の中国料理店へ行ってもあのカニの味にはめぐりあえませんでした。ルーズベルト高校の1年後輩のJUNICHI君と遊び歩きました。

お酒はそんなに飲めなかったのでもっぱら食べる。泳ぐ。潜る。を繰り返しました。安いけどウマイ中華『安安』も発見したし久しぶりのハワイはやっぱり天国でした。しかし天国から地獄とは正にこのことかい!という1本の国際電話がかかってきました。電話は金ちゃんからでした。当時は国際電話が目茶苦茶高い時代でしたので手短に話すという前置きがありなんとツイストを解散することにしたというではありませんか。事情は帰ってきてから話すとして、しばらくハワイにおってもええよ!と。この甘―い言葉に解散のへヴィーさはどこかへ消え去り『ではお言葉に甘えて暫くハワイにおらしてもらうわ。アローハ』と言って僕は電話を切りました。

全くことの重大さに気づいていない大バカ野郎やったなあと思います。『どういう理由で解散するの?なぜ僕がいない時に決定するの?』くらいは普通言いますよね。でもぼくは電話の途中ですでにハワイ滞在を優先していた。
結果的にディスカウントチケットで行っていたのでスケジュールの変更は不可で予定通り帰国することになってしまったんですけど。世の中うまいこといかんように出来てるのであります。

さあ!日本に帰ってからが実は大変やったんやけどそれはここで書くべきことではないので次にいきましょう。
最後のアルバムのレコーディングが始まりました。本当にうれしいことに大上明がバンドに復帰しレコーディングに全面的に参加が決まりツイストはレーナードスキナードについに勝ちました。というと語弊がありますがギタリストの人数でという意味でのことでです。

この頃世良君はもうバリバリにギターを弾いていましたし作本光弘も全曲弾きましたので
4人のギタリストの豪華共演となりました。そしてすごくスムーズに4人が調和したんですね。そこには解散という重苦しさは全くありませんでした。BEST&LASTの新曲をきいて貰ったら一発にわかると思います。ホンマに良くできたアンサンブルです。正直このレコーディングがダントツに楽しかったなあ。ハマーは相変わらず活躍しましたしこのままバンドが続けばええのになあと内心思っていました。でもX DAYは刻々と近づいていました。

解散に向けての記者会見(当たり前のことですがあとにも先にも記者会見たるものを経験したのはこの一度だけです)の前にスムーズに会見を行う方法をその道のプロ?から教えてもらいました。とにかくN本さん達は手を変え品を変え真実を引きずり出そうとするような質問をうまいことしてくるので、そういう時は『先程も申しましたように。。。。。』これに徹底してくれというようなレクチャーを受けました。
この記者会見、実はおもしろかったなあ。なんの緊張もしなかったしちゃんと喋れたし。
『これからはメンバーの数だけツイストがあると思ってください』ととっさに口をついてでた言葉には自分でもびっくりしました。いやアカン、アカン自画自賛はあかんでえ。

無事会見も終わり、取材や残務整理やあれやこれやの日々でした。そやけどバンドが解散することにおける将来の不安は全くありませんでした。ちゃんとやってたらまたええことあるわと!
でも本当のことひとつだけ書きますね。それは解散に関してのミーティングをしている時、神本宗幸君が『解散するとか発表するのはやめようよ。知らん顔して活動しなきゃそれでいいんじゃないの。フェイドアウト。そうすればまたいつかやれるんじゃないの』この発想には正直感動した。なんと素晴らしいこと考える人やろなと。その日から神ちゃんには一目置くようになりました。今でもこの発言は忘れられません。

バンドに居残ることにきめた途端に解散が決まり、いつも何かズッコケテルなと思いつつもソロアルバムの話も浮上してきたりしてあまり暗い気分ではなかったように記憶しています。ボチボチ最後のコンサートのリハーサルが始まりましたがこれはさすがに都内でということになり合歓の郷やなくて残念ではありました。残念と言えばツイストが最後のライブをやった新宿コマ劇場の閉館が決まったそうです。僕たちが青春やった頃のホールがどんどん閉館していくのはすごくさみしいことです。それと企業の名前を新しくつけたホールもあります。どことは言えませんけどこの前とあるホールに出演したときその由緒ある呼び方がもう出来ないのかと思うと時代の流れとはこんなんやねんなあとちょっとさみしい気持ちになりました。

いっそのこと次回のタイトルは『さようならツイスト、さようなら新宿コマ劇場』でいきましょうか。いやいや、ここは真面目に最後のツイストはどうだったのかを書くことにしましょう。でもホンマは解散について書くのは正直しんどいです。そのあたりはお察し下さい。では次回もご愛読のほど御願いいたします。

■P S
今年の8月から次のアルバムのレコーディングを始めていまして、今回はゆっくりじっくり進めております。現在シングルになる予定の3曲はマスタリングを終えています。
あと10曲近く録音するので半年以上はかかるやろなと思います。
新しいアルバムにはインストロメンタルをたくさん入れようと考えています。先日完成したインストをシングルで先にリリースする予定です。ちょっと時間はかかりますが気長にお待ち下さい。なもんでコラムが遅れているのです。ホンマすみません。ではしばし日本の秋を楽しんでください。

■P P S
そのシングルですがなんと10月15日から先行配信されることになりまして事実上の発売に
もうなっているという、いやあ世の中進んでいると申しますか立派なシステムが構築されているなあと僕もびっくりしている次第であります。
タイトルは

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1、此の花 咲くや(インスト)
2、 九番目の約束
3、フィルモア最初の日 リミックスバージョン

是非聴いてみて下さい。
>>こちらより視聴・購入できます(要iTunes)

秋も冬も録音と曲作りの日々です。早めにインフルエンザの予防接種して自己管理に励み
良い音楽を作ろうと思っています。ではしばし日本の夏のような秋をたのしんで?下さい。

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コメント (1)

たれぱんだ:

♪此の花 咲くや
♪九番目の約束
は、今月初めからkiss-fm『Kiss Slidin'n Ramblin'』のオープニング&エンディングの曲としてかかっていたので聞いていました。
♪此の花~は、マツブルストツアー時に発表された曲だと思うのですが、ライブではかなりロックなカンジで、でもCDではポップなカンジになったと思います。
ラジオでイントロを聞いた時、♪此の花~だとは思いませんでした。
ラジオは関西に住む友人に録音してもらったものを聞いているのですが、いつも何かをしながらの”ながら聞き”だし、夜に聞いているのでボリュームを小さくして聞いているので♪九番目~を聞いた時、「誰の曲だろう?」とピンときませんでした。
でも、よくよく聞いてみると松ちゃんの声だった・・・とすごくビックリしました。
発売はまだまだ先だと思っていたのでラジオの録音テープでリピート・リピートして聞いていますが、ラジオを聞けなくても大勢の人に聞いてもらえるようになって嬉しいです。

朝・晩はめっきり涼しくなってきたので、皆様風邪ひきませんよーに。


飛田さんのご冥福をお祈りしながら、ぱんだはこれからも音楽を聞き続けます。

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