第44話は、10日ほど前に書き終えていました。ところがパソコンが何の前触れもなくいきなり壊れてしまうという大事件発生。そんなことで、書き直しとなっているのでありますが、一度書き終えた文章を思い出しながら書き直すのがこれほど難しいとは思いませんでした。オマケにI podのデータというか、何千もの名曲が一瞬にしてどこかへ消え去って行きましたし、メールアドレスも全て失ってしまいました。そやけど、56歳の誕生日の今日、一からの出直しというのも悪くはないかも知れません。
それでははじまり、はじまり。
第45話 倶知安から来ました
六本木ソニースタジオは、あの頃の僕たちにとって憧れのスタジオでした。アイドルワイルドサウスは、CBSソニーのオーディションで1日だけですが、レコーディングさせてもらったことがあります。このスタジオから生まれたセンチメンタルシティーロマンスのファーストアルバムが、いまでも大好きです。
そして、この日は北海道からやってきた高校を卒業したばかりのバンドBE MODERNのオーディションにたくさんのディレクターや関係者が集まりました。
BE MODERNは、音楽評論家の平山雄一さんが発見「発掘がホンマやなあ!」したバンドで、若いけれどごっついええでというのがもっぱらの前評判でした。
事前にデモテープを聴いていませんでしたので、どんな音を出すバンドか何人組なのか何の予備知識もなしに六本木に到着。ちなみに、この日の天気は快晴。覚えているのです。
関係者各位に挨拶などしていますと、メンバーが緊張した面持ちでスタジオに登場しました。それにしても大勢のオッサン達の前でのいきなりの演奏は、正味しんどかったやろうなあ。
「倶知安からきましたBE MODERNです」と言ったか、「BE MODERNです。よろしくお願いします」と言ったかは覚えていませんが、前者の方が絵になるのでそう言ったことにしておきましょう。
「ギター、ベース、ドラム、ヴォーカルのシンプルな編成やな。ふむふむ。オーッ。ギターとドラムは双子か。」などと勝手に考えていますと、演奏が始まりました。「ゴッツイ緊張しているのにこの荒削りでロックな音は何なんや。」これが第一印象でした。「双子はエエ感じやしベースもグイグイくるな。ヴォーカルはちょっとミックジャガーに似てるか?いや似てないか。それにしてもはじめて聴くのに懐かしいナア」
この時点で、僕はこのバンドを担当すると心に決めました。決める時は早いのです。大勢のディレクターが来ておられるので、僕がやらせてもらえるかどうかなどまったくわからないのに全く勝手なもんです。
そやけど「1年くらい遊んどってええよ」の猶予期間でもあったので、遊んでた方がいいのか否か頭の中でグルグルしていましたら、あっという間にライヴは終わってしまいました。
ここでメンバーを紹介します。
ヴォーカル: 天坂晃英
ギター : 橘厚也
ベース : 八熊慎一
ドラム : 橘哲也
演奏終了後メンバーと関係者との「それではしばらくご歓談を」的自由時間と言いますか、今で言うたらロビー活動が執り行われましたが、僕はなかなかその輪に入っていけませんでした。そしてギタリストとドラマーは兄弟ではありましたが、双子でないことも判明しまして。いやいや、早とちりはあきません。
そうこうしていますと、場所を移してゆっくり話しましょうというセッティングがなされ、スタジオと道路を隔てたこれぞ六本木でっせーと言わんばかりのルーテンという中華料理店へ移動となりました。移動の途中、お店の前で女優の池上季実子さんとすれ違いましたが、高校を卒業したばかりのメンバーに「池上季実子おったやろ!なっ!見たか?」
とはさすがに言わなかったはずです。いやひょっとしたら言ってしもうたかも知れません。
「双子やと思ってんよ」と僕は話しかけました。そのとき話したことはどんな音楽が好きかとかどんなバンドのレコード持ってるの、とかいうシンプルなものでしたが、久しぶりのミュージシャンとの会話はTHE六本木とのムードとあいまって楽しい時間やったなあ。
食事後、場所をエピック本社に移して「それにしてもよく場所を移す日であります」デモテープをもらったり、今度はリハーサル見せてねという約束をしてお開きとなりました。
この日を境に、音楽を聴くイコールBE MODERNを聴くになりました。第43話でも同じ表現を用いてる箇所がありますので、よろしければご参照下さい。
デモはカセットテープで、音はゴッツイ悪かったのですが音楽がよかったので、日ごとにBE MODERNにのめりこんでいきました。そしてバンドはめでたくエピックと契約することになり、僕が担当させてもらうことに決定。ついに華のディレクターデビューです。
まず中間地点?ということで、札幌までリハーサルを観に行ったのですがバンドの音は粗野やけどゴッツイええ具合で駆けつけてくれた平山さんも太鼓判を押してくれました。
倶知安から通勤? ロックバンドは通勤とは言わへんやろけど、とにかく通うにはあまりにも遠いので{札幌から汽車で2時間、北海道虻田郡に倶知安町はあります。ニセコの近くです}メンバー4人は、東京に引越して来ました。目黒区九品仏の瀟洒なマンションを合宿所にしての共同生活スタートです。
丸山部長の派手な歓迎会はやめて、合宿所ですき焼きパーティーをしようという提案で、所属事務所CSAの渡辺社長、担当チーフマネージャー麻生さん、発見者平山雄一さん、有志の方々が狭い台所に集まり、楽しいスキヤキ食べ放題の夕べが催されました。丸山さんがホンマにええ肉を大量に持って来てくれました。そんなことでしたから、しばらく合宿所から牛肉のにおいは消えず、いつ行ってもほんのりエエ肉の匂いが残っておりました。
プロになるからにはちょっとは良い楽器もそろえなければいけないであろうということで、お得意の神田、御茶ノ水方面への観光ツアーを催したりリハーサルに立ちあったりの日々を経て、河口湖で合宿をすることに。そやけどホンマは合宿にいくのがちょっとイヤでした。ずっと前に書いたことがありますが、僕は合宿が苦手なのです。そして困ったことに湖もテンプターズの‘エメラルドの伝説’の詩の影響で、好きではなかったんです。そやけどディレクターとなった今日、わがままを言える立場ではないのも重々承知の助。そんなことでしたので、合宿が大好きなふりをしての参加になりました。
この合宿に、橘厚也がグレコのSG を持っていったのか、ギブソンの60年代の白いSG
を持っていったのかがどうしても思い出せません。何せ25年も前のことですからねえ。
本人に直接電話して聞こうかとも考えましたが、あまりにも子供じみた質問なので思いとどまりました。今度会った時直接聞いてみますが、案外本人も忘れているかもしれないですね。
P.S. 4月5日に、スパークスゴーゴーの新作「「2EASY」」が発売になります。是非買って下さい。ツアーもあります。詳細はスパゴーのHPを見て下さい。
▼SPARKS GOGO Official Site
▼『2EASY』SPARKS GOGO 新譜詳細記事
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コメント (2)
はじめてコメントします。
今日、SGGのLIVEに行ってきました!「2EASY」もゲットしました。
で、special thanxに松浦さんの名前を発見!
どれかの曲に参加されてるんですか?
今年の「JUNK!x3」は倶知安ですね。久々に5人のTBHNNみたいです。
というか、まっちゃんのLIVE見たいです。
投稿者: とも | 2010年04月06日 23:53
日時: 2010年04月06日 23:53
4月生まれの一人っ子仲間ですね(笑)
PCはデータがなくなっても場合によっては(お金はかかりますが)プロの修復屋さんがおります。取り出せるモノもあるんであきらめないで下さい。どの道にもプロはいるものと感心。←自分も良く壊しますんで。
・・・でそんなこととは知らずに私は私でスパゴーの初期から聴いている人間だったのでした・・・
まさかそこに松浦さんが関係しているなんてその頃は露知らず(笑)
今はもう聴かなくなったんだけど(バンハズ例外)一作前は購入して聴ききました。(たしかに)「頑張ってるなぁ・・・」と非常に懐かしかったです。今回のも聴いてみます!
投稿者: 二星 | 2010年04月24日 14:07
日時: 2010年04月24日 14:07